終わり
\ポコン/
<飲み会遅刻するんですか?
いやちゃんと間に合うつもりだよ>
<つもりって……?
えっ>
<飲み会、今日ですよ。始まってますよ
マジかああああああああああああ>
ほんとごめん!明日だと思ってた>
今から家出るけど参加はします!>
<はい。笑
っていう背筋の凍るLINEを交わした1時間後、僕は大学の追いコンに参加していた。
僕は大学を卒業して久しいけど「先生がいいってゆったから」という理由でこの1年ゼミに参加させてもらっていたんだ。タダで。すごい。社会人になってからタダで哲学勉強し直せるとかどんなマジックだよって思う。いや、マジックじゃない。僕は図々しいんだ。それが僕の人生に必要だと思ったら絶対むしり取る奴なんだ。
3時間飲み放題の飲み会に1時間遅刻して行ったらもうだいぶ皆お酒が回っていて、というか実は僕も飲み会関係なく普通に飲んでたから回っていた。
赤ら顔で笑顔で騒ぐ大学生たちを見ていたら感傷に浸……るとかそういうの全然なくて普通にくだらない話をして普通にギャハギャハ笑って普通に終わった。とにかく大学生の飲み会はうるさいし話題は矢継ぎ早に投げられるので感傷に浸る暇なんかない。
そのまま帰って倒れて寝て起きたら朝の5時くらいだった。
酒か薬がないと眠れない体質なのでほとほと困った。薬を飲むと10時間寝てしまう。で、酒を飲みながらだらだらした。
そしたら大学生の人たちからの「昨日はありがとうこれ写真です」グループラインがポコンポコン来た。
この世で、飲み会会場ほど残念な写真がとれる場所はないとおもう。それでも1人1人の顔を見ながら、っつーかすげえな大学生って飲み会の翌日に8時に起きる生き物だったのかよ。立派だな~~~。
写真を見ながら、この「場」はもう2度とないんだなあと思った。人は生きている、場所はある。でもこのメンバーで「ゼミ」と称して哲学をこねくりまわす「場」は終わったんだ。いや本気でめっちゃ頑張って再現しようと思えばできなくないかもしれないけど普通に考えて無い。
そっか―――終わったんだな―――。またひとつ終わったんだな。寂しいなあ。僕はモグリだけど。と思ってまた寝た。901文字。