寿命と包丁
僕は成人のお祝いに、職人の妖精(父)から包丁をもらった。
妖精が市場に行って包丁職人にわざわざ発注してもらってきたものだ。
それは夢のような切れ味でなんでもスパスパ切れたし指もスパスパたくさん怪我をした。
僕は張り切って河童橋で砥石を買ってきた。
でも僕はなかなかこの包丁を使わなかった。
ドンキで買ってきた安い包丁ばっかり使っていた。
なんでかって、もったいなかったからだ。
上にあげた写真の裏側には僕の名前が彫ってある。
でも最近よく使うようになった。
例え毎日この包丁を使って研いだとしても、きっと包丁がだめになるより先に僕が死ぬ方が早いに違いないからだ。鉱物の寿命が羨ましい。
だったらたくさん使った挙句に少し小さくなった包丁を妖精に見せて「あの時貰った包丁こんなに小さくなった」と言った方がいい。
まだドンキで買った包丁と、同居人が適当に買ってきた包丁も持っていて、ちゃんと研いでいるけど、これからは僕包丁をメインで使っていく。
ところで包丁研ぎのめっちゃうまいやり方がわからない。
いつも感覚で研いでて(砥石に対して1円玉が挟まるくらいの角度であまり力を入れずにとかそういうの)それなりに切れ味は復活するんだけど、そうじゃないんだ。
僕はめっちゃうまく研いで「やば……」ってくらいの切れ味で包丁を使いたいんだ。
この包丁にはそれくらいのポテンシャルがあると信じてる。今度帰省したら包丁の研ぎ方教わるか。そんでまた手をスパスパ切ってしまうんだろう、包丁使ってるときはたいてい酔っている。639文字。