ドンデン返し

最近読んだミステリ2冊について。


■怪物の木こり
http://urx2.nu/QfzC

読みました。面白かった!
まず「主人公は連続殺人鬼のサイコパスで、サイコパスを狙う殺人鬼に狙われる」っていう殺人鬼のゲシュ崩必須な紹介文だけで面白いです。
本文はサイコパス祭で、ブレずに殺人鬼を殺そうとするサイコパス(主人公)を「がんばぇー!」って応援したくなります。

本文は良い意味でクセがなくてつるつる入ってくるし、そもそもそんなに長くないしで、3時間くらいで「ああ良いサイコパスだった……」って爽やかな後味を残して読み終わることができます。推理も楽しめるし最後にちょっとした驚きもあるし、「ちょっとミステリ読みたい気分」って時に丁度良いです。

そして主人公の親友のサイコパス殺人鬼が良すぎる。「良さ」を説明すると激しいネタバレになるので黙りますが本当は叫びたい。お―――い久しぶりに生きのいい天然物のツボキャラが獲れたぞ―――魚拓にして飾るしかねえな―――!!!って気分です。初見で「あっ好き」ってなって読むたびに好きに……好き……

「屍人荘の殺人」とか「怪物の木こり」とか、「そんなんアリかよ!!」って設定のまま突っ走る作品に驚かされることが最近多い気がします。ルパパトと同等に語っていいかわかんないけどルパパトも「1番組で2つの戦隊が出てきてしかも戦うとかアリかよ」って思ったけど最高に面白かったし。
いや確かに細かいとこ突っ込みだしたら「そうはならんやろ」な所もあるんだけどでも面白さが完勝してるからアリですねーみたいな

「このジャンルにまだこういう類の面白さが残ってたんだ……」って嬉しくなっちゃうんですよね。もちろん一定以上の「見せる力」「読ませる力」がないとただの「アッハイ」で終わるんだけど。あと「屍人荘」も「木こり」もそうだったけど、短いのが良い。分厚い本で得られる面白さが10だとして同じ10をその半分の文章量で得られるとしたら後者の方がお得じゃんみたいな脳みそ軽いこと考えてる人なんで。テンポよくズバズバいかれると飽きないし。
あーこういうのもう1冊読みたいな。屍人荘シリーズ化して2冊目出るんだ……20日発売かぁ……

あ、普通に「屍人荘の殺人」の話をしてますけどこれもかなり面白いミステリなので未読の方は是非!
絶対途中で「マジか」って口から出ます。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0761Q2X5Q/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1


■テミスの剣
https://www.amazon.co.jp/dp/B06XKG78LR/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1

「怪物の木こり」が面白かったのですっかりミステリづいて思わずkindleした本です。

紹介文に「ドンデン返しの帝王、渾身の大作!」って書いてあって嫌な予感はしたけどそこまで言うなら読もうと思って読んで、やっぱり本のアオリに「ドンデン返し」って言葉使う編集は市中引き回しの刑でいいと再確認しました。本自体に罪はなく普通に面白かった

主人公は警察官で、冤罪事件を起こして無実の青年を殺してしまう。その事件を28年ぶりに洗った結果見えてきた意外な黒幕は、みたいな話で。しっかりした文章とリアリティで、警察モノ好きなら満足するんじゃないかなと思いました。でも「ドンデン返し」これがいけない……!

ミステリ読むなら最後に多少の「なんだってー!」は当然有るもので、それをドンデンと言われると微妙なんですよね……ドンデン言うならシックスセンス並みに「そもそも全部ひっくり返った」くらいのものじゃないともうドンデンだと感じないと思うんですよ。だからちゃんと面白くても読み終わったとき「あれ?これだけ?」みたいにな…っる…んだ…!(息も絶え絶え)

特に9割がた読んだ時の「残り1割に何が…?」というハードルカンストした期待からの→読み終わったときのスンッとした感情はドンデンで煽られた本を読んだ方なら経験したことあると思います。本は悪くない。僕からは以上です。1730文字だけどこれURLの文字数もカウントしてるのかな?まあいいや。